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zoom RSS 『川戸の虫送り踊り』  里山に息づく、伝統文化・芸能三昧(「川戸の虫送り踊り) 2010.06

<<   作成日時 : 2010/06/07 18:21   >>

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6月の第一日曜日、国の民族文化財指定の日本一大きな田植え祭り「壬生の大花田植え」と、県指定民族文化財「本地の花笠踊り」と、日本一小さな?文化財「川戸の虫送り踊り」の三つをハシゴし、堪能してきました。まず最初のご紹介は、虫送り踊りです。

      
  里山に息づく、伝統文化・芸能三昧 「川戸の虫送り踊り」




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広島の県北地方(旧千代田町)の山里、上川戸地区(川戸の鎮守熊野神社と川戸を流れる江の川周辺)で伝統行事「虫送り踊り」が行われました。’虫送り’ は、田植えが終わった6月の初めくらいに、稲につく害虫を追い払い五穀豊穣を祈る神事です。お囃子と歌に合わせ、’サネモリさん’を中心に踊り子さん達が踊り、最後にサネモリさんの化身のワラ人形を稲に付く害虫(悪霊)とみたて、川に流すという行事です。虫送りの行事は、愛知県をはじめ日本中で行われているようですが、昔のまま伝わって保存され残っている上川戸地区の虫送り行事は全国的にも珍しいとのことでした。
では、ここで、主役?の’サネモリさん’について、少し勉強してみましょう。


サネモリさんは、わらで作った案山子のような胴体に桐の木で作った頭を乗せ、右手に扇子、左手に榊を持っていました。保存会の方に聞くと、桐の頭は大変古くから伝わっているそうです。(画像参照)
約八百年くらい前、源平の合戦が行われていた頃、平家の武将に斉藤別当実盛(実在1111〜1183)という人がいました。木曾義仲追討のため北陸に出陣中の実盛は老体(72)を押して一歩も引かず奮戦し、ついに義仲の部将によって討ち取られましたが、この戦いの前に実盛はこの戦いを最期の地と覚悟しており、「最後こそ若々しく戦いたい」という思いから白髪の頭や髭を黒く染め若々しくして出陣していました。戦いの中、馬が水田の稲の切り株につまずき(一説では水田に足が填まって)、あえなく最期を遂げてしまいました。討ち取られる間際に、実盛は田圃を恨み「我は害虫になって、のちのち水田にたたってやる」と言い、その後実盛は稲を食い荒らす害虫(稲虫)に化身した、とこの言い伝えが全国に伝たわりました。その為か、ウンカなど稲虫は地方では’実盛虫’とも呼ばれています。近年のように農薬がなく防虫の手段が無かった昔の百姓さんは、稲虫の発生を’実盛さんの祟り’と恐れ、田植えが終わると、村人総出で実盛さんの藁人形に害虫の怨念を入れ、川に流し、五穀豊穣を祈り踊るようになった、というのが虫送りの起源です。全国の虫送り行事では地域によって、サネモリさんを藁で作り、藁の馬に乗せ、ここ川戸のように川や海に流すもの、村境に立てるもの、燃やすものと、色々’送り方’にも違いがあります。しかしながらサネモリさんだけは全国共通です。昔々、今のような情報伝達が乏しい時代に、サネモリさんの伝説がどうやって全国に伝わったのでしょうか。このあたりの疑問は、民俗学の緒先輩方にお任せするとして…。



午前9時すぎに地元の保存会さん(神主さん、踊り子の早乙女さん十人、奏者の太鼓と笛と手打ち鉦、旗持ち、槍もち二人、サネモリ人形持ちの構成)が上川戸集会所に集まり、最初に奉納する熊野神社に向かいました。私も集会所からひとりで歩いていこうと歩きかけましたら、軽トラの荷台の保存会の方々に声をかけられ、親切にもサネモリ人形や太鼓がのる軽トラに乗せていってもらうことができました。上川戸地区は、全部で30戸たらずで、産物といえば米、麦、竹の子くらいの山郷です。最初の踊りのある熊野神社へは、正面の高く長い石段を上げるか、イノシシ除けの柵をあけて裏から入っていく二通りの方法で登っていきます。私は幸い荷物や参加者といっしょに裏山から軽トラの助手席です。神社の裏道は、急な段々畑(棚田)の一本道を駆け上がります。周りに民家は数件の様相です。田圃にはすでに水が張られ、植えられたばかりの早苗が水面にうつり朝日に輝いていました。
保存会の方が、最初に神社の境内に、サネモリ人形をたてかけます。


虫送りの行事自体、戦前戦後一旦中断したそうですが、12年前に村おこしで、観光協会の方が地元の皆さんと再興させたとのことでした。さて、神社に別のワンボックスで早乙女(踊り子)さんたちが到着すると、保存会の責任者さんの号令で、一旦神社の正門?の外に皆さん出て、一列に並ばれました。旗や神主さんを先頭に、静かに神社の境内に入ります。境内では大太鼓を中心に、踊り子さんがまわるい輪になって、笛や太鼓が始まるのを待ちます。いよいよ太鼓の演奏がはじまり、虫送り踊りの開始です。
太鼓を演じる方の合図で、歌が始まり、早乙女姿の踊り子さんが太鼓を囲んで静かに踊ります。サネモリ人形は担ぎ手の男性の両手に掲げられ、踊りの輪の中を、上下しながら動きまわります。しかし踊り子さんたちは決して輪を回ったりはしません。

当神社での踊りの見物は、私と記者三人と中年のカメラマン十人程度でした。年に一度の県指定無形文化財の伝統芸能ですから、もう少し見物がいても…。

踊りが終わると皆さん幟や神主を先頭に、神社の境内を一列で出ていかれ、熊野神社での奉納踊りが終わりました。それぞれがまた着た同じ方法で、元の集会所に戻りました。集会所に戻って暫くすると集会所前で簡単な開始式が始まりました。町議会議員さんを初め地元の方が簡単に挨拶され、いよいよ虫送りのメインである、サネモリ人形(藁製の方)に神主さんが念を入れ、江の川への投げ入れが始まります。
神主さんが槍日本を使って藁人形に念を入れ、簡単な儀式を終えて橋の上からの藁人形を投げ入れ後、参加の皆さんは一列になって、田圃のあぜ道を歩いてくれました。
聞けば、カメラマンへのサービスだそうです。お陰で、麦が青々と育った田圃を全景に、遠くから早乙女さん達の一行を撮影することができ、保存会の皆様には感謝です。田圃と遠くの山々と、数軒の農家の一本道を歩く早乙女さん一行…絵になりますね。
デジタルの世の中、車までモータで走るご時世、こんな原風景に出会うなんて、日本もまだまだ捨てたものではありませんね。田園風景の田圃のあぜ道を笛と手打ち鉦の行列で通り、集会所近くに戻って、お祭りはほぼ終わりを迎えます。


これから、集会所では昼食をとって、地元上川戸神楽団の演じる神楽があります。私はバザーのうどんを食べおわると、早々に次の目的地である千代田の壬生へ「花傘踊り」と「大花田植え」の撮影に向け出発です。実は親切な地元の方々に混じって神楽も拝見したかったのですが。


◆今回も全撮影枚数2300枚!とうてい全部ご紹介できないので「川戸の虫送り踊り」の前半、集会所での祭りの準備と、神社での奉納踊りのご紹介となります。後半は、集会所に戻って、サネモリ藁人形の川への投げ込みのご紹介です。

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●↑軽トラの荷台に眠る本日の主役、サネモリさんと化身藁人形
  ↓サネモリさんのアップ

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●↑集会所前で、お祭りの準備
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●出演者の踊りの準備
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●いよいよ神社にむけて出発です。この軽の後の助手席に乗せていただきました。
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●↑神社に通じる裏道です。イノシシ避けの柵があります。

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●神社の境内に到着。まずはサネモリさんを下ろし、立てかけます。

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●静かに踊りの開始を待つサネモリさん。

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●踊り子の早乙女さんたちも神社に到着

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●全員が揃ったところで、参加者は一旦境内の正門の外に出て、一列に並び、それから笛の演奏で踊りながら正式に神社の境内に入ってきます。

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●いよいよ境内で虫送り踊りの奉納です。

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●ここでの観客は、カメラマンのみ

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●神社での奉納踊りが終わり、集会所にもどる軽トラの窓から、上川戸集落の風景を撮影

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●虫送り踊りの開催地 上川戸


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
興味深く、長い間楽しませていただきました。
次回の川への投げ込みも待ち遠しいです。

長くなりますので、わたしの方に後ほど感想を書かせていただきますね☆
Rancho
2010/06/07 22:06
コメント読ませていただきました。藁人形の投げ入れの後半No2の編集を急がねばと、昨晩は頑張りました。後ほどアップさせていただきます。
RANCHO様、コメント頂戴しありがとう...
2010/06/08 16:35

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『川戸の虫送り踊り』  里山に息づく、伝統文化・芸能三昧(「川戸の虫送り踊り) 2010.06 安芸.石見地方神楽紀行/BIGLOBEウェブリブログ
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