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zoom RSS 「農村舞台」徳島の阿波人形浄瑠璃公演 犬飼農村舞台その3 傾城阿波の鳴門

<<   作成日時 : 2018/11/24 17:40  

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徳島の農村舞台における阿波人形浄瑠璃公演のその3です。
その1で、犬飼農村舞台と五王神社での奉納、その2で農村舞台での三番叟の公演の様子をご紹介しました。
今回、その3は、太夫・竹本友和嘉氏による 傾城阿波の鳴門 順礼歌の段のご紹介です。

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太夫の竹本友和嘉氏は、今年、国の重要無形文化財・浄瑠璃「義太夫節」の総合認定保持者となられました。
TVのダイドード○ンコ日本の祭りにも出演されました。「友和嘉会」という浄瑠璃の教室を主催されています。
残念ですが、肖像権、個人情報保護等の関係を考慮し、お顔はぼやけさせていただきました。

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傾城阿波の鳴門
徳島では一番多く演じられ、一番人気の阿波人形浄瑠璃です。当方も徳島「阿波十郎兵衛屋敷」で阿波踊りの撮影前後に何度か観劇しています。

これは阿波藩(今の徳島県)のお家騒動を題材にした物語りです。原作は近松門左衛門の夕霧阿波鳴門です。後年、浄瑠璃の作者近松半二ら数人が改作し、明治五年に大阪で初演されました。

物語は、十段ありますが、現在は八段目がよく上演されています。

タイトルの’傾城’という意味は、最初城が傾くものと思っていました。が、調べると、傾城とは花魁とか遊女とか美女、またはそれらに惚れ込んでいる、という意味でしたね。

この演目は、「かか様はお弓と申ます…」でよくご存じだと思いますので、ここでは簡単にあらすじのご紹介に留めます。

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昔々、阿波藩の藩主であった玉木家の若殿が、高尾という美女に傾城し夢中になっているのを勿怪の幸いに、阿波藩家臣の小野田郡兵衛が、お家横領を企てるといった、お家騒動物の物語りです。

阿波藩の家老に桜井主膳という者がいました。騒動の中、預かっていた藩主の重宝、国次の刀を何者かに盗まれてしまいました。主膳は、家臣の十郎兵衛に刀を探すように命令します。(十郎兵衛は実在の人物で、住いは現在の阿波十郎兵衛屋敷跡だそうです)十郎兵衛とその妻のお弓は、娘のお鶴を祖母に預け、国次の刀を探し旅にでます。十郎兵衛は名を’銀十郎’と変え、屋敷や質屋などの藏内を探る為、盗賊の仲間になりました。

ある日のこと、大坂の隠れ家で、妻のお弓が針仕事をしているところへ、飛脚がきて手紙を届けました。手紙の内容は、十郎兵衛らの悪事が露見し、追っ手がかかったので、隠れ家から一刻も早く立ち退くようにとの知らせでした。お弓が夫の無事を神仏に祈っているところに、かわいい巡礼姿の女の子が門口に立ちます。

お弓が女の子にどこからきたのか、親の名はと訊ねると、父の名は十郎兵衛、母はお弓と申しますとこたえるのでした。わが娘と知ったお弓は、直ぐにでも私が親だと名乗りたかったのですが、今は役人に追われる盗賊の身。ここで親子だと名乗ればお鶴もいっしょに捕らえられてしまうと思案し、国で親の帰りを待ったがよい、と娘を諭します。お鶴は、国の悲しい出来事や巡礼中の怖いことなどを訴え、帰りたくない、このままここにおいて下さい、と頼みますが、お弓は泣く泣く追い返してしまいました。
お鶴の歌う順礼歌が遠のくと、このまま別れてはもう会えないと思い直し、急いでお鶴の後を追うのでした。


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しほらしい巡礼衆 どれどれ報謝しんぜふと 盆にしらげの志 あいあい有がたふござりますと いふ物ごしからつまはづれ 可愛らしい娘の子 定めて連れ衆は親御達 国はいづくと尋ねられ 
あーい 国はあはの徳島でござります  
むむ何じや徳島 さつてもそれはまあなつかしい わしが生れも阿波の徳島 そして父様やかか様と一所に 巡礼さんすのか 
いえいえ其父様や かか様に逢たさ故 それでわし 一人西国するのでござります  と聞てどふやら気にかかる お弓は猶も傍に寄り むむ父様やかか様に 逢たさに西国するとは どふした訳じやそれが聞きたい まあ其親達の名は何といふぞいの 
あいどふした訳じや知ぬが 三つの年に 父様やかか様もわしを婆さまに預けて どこへやらいかしやんしたげな それでわたしは 婆さま様の世話に成て 居たけれど どふぞ父様やかか様にあひたい顔が見たい それで方々と 尋ねてあるくのでござります

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父様の名はあはの十郎兵衛 かか様はお弓と申ますと 聞て恟りお弓は取付 これこれこれあの父様は十郎兵衛 かか様はお弓 三つのとしわかれて 婆さま様に育てられて 居たとは 疑ひもなき我娘と見れば見る程稚顔見覚の有額のほくろ やれ我子かなつかしやと いはんとせしが

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いや待て暫し 夫婦は今もとらるる命 元より覚悟の身なれ共 親子と云へば此子に迄どんな憂き目がかからふやら それを思へばなま中に 名乗立して憂目を見んより 名のらで此儘かへすのが 却て此子が為ならんと 心をしづめよそよそしく おおそれはまあまあ年はも行かぬに はるばるの所を よふ尋ねに出さしやつたのふ 其親達が聞てなら嘸嬉しうて嬉しうて飛立つ様に有ふが儘ならぬ世の憂きふし 身にも命にもかへて 可愛子をふり猶国を立退く親御の心 よくよくの事で有ふ程に むごい親と必ずかならず恨まぬがよいそや いやいや勿体ない何の恨ませう 恨る事はないけれど ちいさい時別れたれば 父様やかか様の顔も覚ず 余所の子供衆が かか様に髪ゆふて貰ふたり 夜は抱かれて寝やしやんすを見ると わしもかか様が有るなら あのやうに髪結ふて貰はふと羨しうござんす どふぞ早ふ尋ねて逢たいひよつと あはれまいかと思へば それが悲しうござんすと ないじやくりするいぢらしさ 母は心もきへ入思ひ 扨も扨も世の中に親と成り子とむまるる程 ふかい縁はなけれ共 親が死だり子が先立たり 思ふ様にならぬが浮世 こなたもどれ程尋ねても 顔も所も知ぬ親達あはれぬ時は詮ない事もふ尋ねずと国へ逝んだがよいわいの 

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いえいえ 恋しい父様やかか様 譬へいつ迄かかつてなと 尋ふと思ふけれど 悲しい事は一人旅じやてて どこの宿でもとめてはくれず 野に寝たり山に寝たり 人の軒の下に寝てはたたかれたり こはい事や悲しい事 父様やかか様と一所に居たりや こんなめには逢まい物を どこにどふして居やしやんすぞ 逢たい事じや逢たいと わつと泣出す娘より 見る母親は たまり兼おお道理じや 可愛やいぢらしやと 我を忘れて抱付前後 正体嘆きしが 是程親をしたふ子を何と此儘逝なされふ いつそ打明け名乗ふか いやいやそれでは此子も同じ罪 其時の悲しさを思ひ廻せば 逝なすか為と おお段々の様子を聞き我が身の様に思はれて 悲しい共情けない共 いふに云れぬ事ながら 兎角命が物種まめでさへ居りや又逢はれまい物でもない これ仕付けぬ旅に身をいため 煩ひても出りや悪い どこをしやうどに尋ねふより 其ばば様の方へいんでいるとの 追付け父様やかか様が逢にいてじや程に 悪い事は云ぬ 思ひ直してこれから直ぐに国へいんで 随分まめで親達の尋ねて行かしやるを待っているのがよいぞやと なだめすかすを聞き分けて あいあい忝ふござります おまへが其様にいふて 泣て下さりますによつて どふやらかか様の様に思はれて わしや爰が逝にとむない どんな言なと致しませふ程に 申しお家様 お前のお傍にいつ迄も わたしを置て下さりませ ええ悲しい事を云出して又泣かすのかいの さつきにからわしも子の様に思ふて 爰に置きたい逝なしとむないと 様々思ひ廻せ共 爰に置てはどふも為にならぬ事が有によつて
それでつれなふ逝にすのじや程に聞き分けていんだがよいぞと 云つつ内へ 針箱の底をさがして豆板の まめなと悦ぶはなと 紙に包で持て出 何ぼ一人旅でも たんと銭さへやりやとめる わづかなれ共志 此銀を路銀にして 早ふ国へいにや 必々煩ふてばしたもんなと

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かねを渡せば押戻し 
嬉しうござんすれど 銀は小判といふ物をたんと持ておりますそんなりやもふさんじます忝ふござりますと 
泣く泣く立つを引とどめて それはそふでも是はわしが志と 無理に持してちり打払ひ これもふいにやるか名残が惜しい別れとむない 
これま 一度顔をと引寄て 見れば見る程胸せまり離れがなたき憂き思ひ それと知ねど誠の血筋名残 おしげに振返り どこをどふして尋ねたら 父様やかか様にあはれる事ぞ あはしてたね 南無大悲の観音様 父母の恵も深き こ川寺 仏の誓ひ頼もしきかな 泣々別れ行跡を見送りみおくり延び上り これ娘ま一度こちら向てたも 折角長の海山こへ艱難してあこがれ尋るいとし子に ふしぎと逢ひはあいながら 名乗らで逝なす 母が気は どの様に有らふと思ふ 

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狂気半分 半分は死んでいるはいの まだおいさきの有る子をば親故路頭に立たすると其儘そこにどうど伏しきへ入る斗り嘆きしが 起き直つて涙を押へ いやいやどふ思ひ諦めても 今別れては又あふ事はならぬ身の上 譬へ難儀がかからばかかれ 又其時は夫の思案 程は行まい追付いてつれて戻らふそふじやと子に迷ふ道は親子のわかれ道跡をしたふて 

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次回は、犬飼農村舞台のその4、傾城阿波の鳴門 十郎兵衛内の段、生写朝顔日記のご紹介となります。


















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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
SISI様、お邪魔します。

品位のある美しい作品の数々ですね。ほんと、拡大させていただき、うっとりします。
ストリーを追いながら、涙ながらに楽しませていただいています。
こういったお話はとても好きなので、自分で見たり読んだりしてみたいです。

文楽とは違い、人形を扱う方が、黒子にてっされて、顔を隠しておられるのですね。
美しい濃紺の黒子のお衣装なので闇に溶け込んで違和感がなく、私は大変好きです。
お舞台の影とライト、色味(色彩)の使い方が大変好きです。
徳島の農村舞台ではこういった洒落た演じ手によって、人形が一層生き生きと感じられるように思います。
私はこういったお舞台を拝見させていただいたことがありませんでしたので、大変感心しています。

それにしても貴重なお舞台を楽しまれたのですね。
SISI様、これは本当に素晴らしい舞台だと感じます。
ありきたりの商業演劇ではなく、まさに日本の誇れる芸能のように感じました。

拝見させていただき感謝いたします。
ありがとうございました。


Rancho
2018/11/25 01:25

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